キャンピングカーのある暮らし #1

キャンピングカーは私の生活になくてはならない相棒になっている。初めて手に入れたアメリカのマイクロミニ(それでも全長は6m以上!)モーターホームからおよそ30年、現在の国産1BOXのキャンパーまで共通しているのは、お金に換えることの出来ない貴重で素晴らしい体験、豊かな気持ちを人生にもたらしてくれているという事だ。

キャンピングカーのお陰でしなくても良い苦労をしたり、とんだハプニングに巻き込まれる事もあったが、それを差し引いてもキャンピングカーのある暮らしほど素晴らしいものはないと断言できる。

都会で仕事をしているピアニストがなぜキャンピングカーに向かったのか。こんな車に興味があって欲しいとは思っているが今ひとつ具体的にイメージが湧かない人達のためにも、私の経験を書き記してみたいと思う。

キャンピングカー前夜

それは1991年の春、TUBEのツアーで高松に滞在していた時のこと。OFFの日にたまたま入ったコンビニで見つけた雑誌の表紙に釘付けになった。それが後のオートキャンパー、ドマーニの創刊号だったのだ。まだ国内では馴染みのなかったキャンピングカーのあるライフスタイルを紹介する記事を夢中になって読んだ。元来車で出かけるのは大好きだし田舎育ちでアウトドアも大好きだ。そしてキャンピングカーがあれば不規則な生活を送るミュージシャンでも宿の予約などに縛られず自由に遊びに行ける。なんて素晴らしい道具だろう。猛烈に欲しい!どうしたら手に入れられるのだろうか。

現在のようにネットで検索して情報を得るなんて出来ない時代。雑誌などの限られた情報だけではどうにもわからない事だらけだったので、東京近郊で年に数回あるキャンピングカーショーには殆ど顔を出して内外の車を見て情報を収集した。

今思えば、まだ感覚がバブルだったのだろう。ハイエースやキャラバンに架装した国産のキャンパーもあったのだが、いわゆるアメリカンモーターホームに気持ちは向かっていた。ベースになる車、ダッジバンやシェービーバンの運転席から後ろをカットし、そこに家の部分を架装するキャンパーはクラスCと呼ばれ、憧れの的ではあったが何せ日本国内で取り回すのは大変なシロモノだ。普通免許で乗れるのだが、およそ2m45cmの横幅(大型観光バスとほぼ同じ)、高さはおよそ3m、車種にもよるが8m前後の全長、自信を持って運転出来たとしても日本国内では物理的に行けない場所が出てくる。そもそもアウトドアを楽しむ場所はそんな大型車のアクセスを想定していないところがほとんどだ。この辺りから車を通して日本とアメリカの文化の違いが良くわかるようになってきた。ランニングコストに影響を与えるガソリンの値段の差も見逃せない。当時このクラスの燃費は大体3~4kmだろう。感覚としては乗用車であれば¥5,000で満タンになるところが¥15,000くらいの感覚だ。車両価格も1,000万に手が届きそうなものばかり。20代のミュージシャンにはとても無理な話で憧れのままで終わりそうだったのだが、マイクロミニというアメリカでは最小のモーターホーム、NATIONAL RVのDOLPHINという車に出会った事で私の人生は大きく変わることになる。幸運にも程度の良い中古の出物があり、なけなしのお金をはたいて私はあっという間にキャンピングカーのオーナーになった。1992年、秋のことだった。

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